大学職員

国立大学事務職員の一般的なキャリアプランを学ぶ。

こんにちは!

某大学で働きながらのんびりブログを書いています。

今回の記事では、国立大学の事務職員がたどるであろう一般的なキャリアプランについて解説します。

【想定読者】

  • これから大学への就職を目指す方
  • 若手大学職員

自分の働いている大学の情報はもちろん、他大学の職員とも交流がありますのである程度の信頼性が担保できているはずです。なお、本記事は事務職員に絞った話になります。

係員

年齢目安:23歳〜33歳

国立大学に就職した人はまず『係員』、つまり平社員としてキャリアをスタートします。

大学職員としての基礎知識を身に着けて行く時期と言えるでしょう。

2-3年で人事異動があり、徐々に大学全体のことを理解していくことになります。

文部科学省行政実務研修

係員の時代に、文部科学省に研修に行く人もいます。

この研修は国立大学が1年間文科省に職員を派遣し、文科省の業務を経験させるものです。

研修参加者のうち、希望者はそのまま文科省に残り転籍を狙うこともできます。(もちろん文科省に欲しいと思われる人材であることが必要。)

毎年多かれ少なかれ希望者がいるので、実は文科省プロパー職員の中には元々国立大学の職員であった人が数多くいるんです。

文部科学省行政実務研修の他、係員のうちに海外派遣研修に参加する人もいます。

国立大学法人職員・係員の年収

(※本記事の年収や年齢のソースは全て令和元年度文科省調査

平均年収 人数 平均年齢
北海道大学 416.2万円 272人 31.0歳
東北大学 420.8万円 255人 31.6歳
東京大学 452.6万円 263人 29.9歳
名古屋大学 438.2万円 197人 31.1歳
大阪大学 450.2万円 229人 33.1歳
京都大学 451.9万円 272人 32.6歳
九州大学 429.9万円 251人 31.9歳

主任

年齢目安:34歳〜40歳

係長の一段上の役職が『主任』です。

国立大学では34歳になる年度に係員を一律主任に昇任させるところが多いです。学部新卒でしたら11〜12年目くらいでしょうか。

多少進んでいる大学ではこの『34歳ルール』が撤廃されているケースもあります。

その場合、一定の勤務経験があれば年齢に関わらず主任昇任試験を受けることができ、合格者から順次主任になる仕組みが多いようです。

国立大学法人職員・主任の年収

平均年収 人数 平均年齢
北海道大学 529.0万円 152人 40.4歳
東北大学 544.7万円 279人 40.0歳
東京大学 599.3万円 155人 42.2歳
名古屋大学 570.4万円 121人 41.3歳
大阪大学 570.6万円 190人 41.9歳
京都大学 581.1万円 266人 42.7歳
九州大学 563.0万円 167人 41.7歳

係長および専門職員

年齢目安:40歳以上

主任は40歳前後で『係長』、あるいは『専門職員』に昇任します。

両役職はまとめて”係長級”と呼ばれます。

主任のように一定の年で昇任するわけではなく、係長級ポストの空き具合も影響します。

自分の大学で空きポストがない場合など、係長級に上がると同時に他機関に一旦出ることもあります。

【出向先の例】

  • 近隣の国立大学、高専
  • 文科省所管の独立行政法人

外に出る場合、3年間限定の出向になることが多いです。

係長は係のマネジメントをしつつ実務を多くこなす必要があるので、まさに中間管理職ポジションで心身ともにハードだと思います。

一方、専門職員は部下を持つわけではないのですが、単独で少し規模が大きめの業務を担当していることが多いです。

給与面で、係長と専門職員に差はありません。

「私は係長は嫌だから、専門職員がいい」とかは残念ながらできないと思った方がいいでしょう。

ケースバイケースですが、係長も専門職員も両方経験する人が多いのではないでしょうか。

国立大学法人職員・係長級の年収

平均年収 人数 平均年齢
北海道大学 598.8万円 405人 45.2歳
東北大学 610.3万円 426人 45.4歳
東京大学 678.8万円 676人 45.8歳
名古屋大学 653.0万円 278人 44.7歳
大阪大学 678.3万円 318人 46.4歳
京都大学 666.3万円 394人 45.8歳
九州大学 634.3万円 379人 45.3歳

課長補佐

年齢目安:45歳以上

『課長補佐』からは昇任試験で認められた人がなれる幹部職員になります。

(つまり係長級までは誰でもなれます。)

課長補佐は45~49歳、係長経験7−8年でなれるイメージです。

課長補佐になると細かな実務がグッと少なくなり、部内・課内・学内の調整業務が多くなります。

僕の所感では、課長補佐は実務能力よりも人間性、コミュニケーション能力が求められるポジションだと思います。

とはいえ、課長補佐に昇進するには係長級時代の実務パフォーマンスの高さも重要でしょうが・・・。

課長と係長の間に位置するので、両者のよき相談役、時には緩衝材としての働きも求められます。

国立大学法人職員・課長補佐級の年収

平均年収 人数 平均年齢
北海道大学 683.9万円 75人 51.7歳
東北大学 693.4万円 96人 49.5歳
東京大学 787.0万円 181人 54.3歳
名古屋大学 739.8万円 80人 50.3歳
大阪大学 753.9万円 90人 52.1歳
京都大学 738.4万円 148人 50.4歳
九州大学 712.8万円 92人 51.1歳

※東京大学は「副課長」の数字を引用。

課長

年齢目安:50歳以上

課長補佐の中から一部の人は課長に上がることができます。

何年も課長補佐のままの人もいれば、課長補佐を3年程度経験してすぐ課長に昇進する人もいます。

課長レベルの人事になると、昇進のためには学内政治力も重要と勝手に思っています。

国立大学法人職員・課長級の年収

平均年収 人数 平均年齢
北海道大学 821.4万円 44人 54.6歳
東北大学 815.7万円 71人 53.2歳
東京大学 934.0万円 100人 54.2歳
名古屋大学 876.3万円 51人 53.7歳
大阪大学 880.9万円 55人 54.0歳
京都大学 906.7万円 66人 53.0歳
九州大学 852.5万円 60人 54.3歳

※課長級には文科省のキャリア官僚が30代前半で出向してくることがあり、平均年齢を下げる要因になっています。

国立大学法人のプロパー課長は55歳〜定年目前くらいの人が多いです。

部長

部長級年齢目安:55歳以上

学務部、人事部、財務部、国際部、・・・と様々な部が大学にはありますが、部のトップたる役職が部長です。

部長職はただでさえポストの数が少ないのに、何割かは文科省からの出向者がやってます。

例えば北海道大学では10人しか部長級がいないですが、その中でプロパー職員は6-7人だろうと予想できます。

50歳で課長に上がれたとして定年まで10年ですから、その期間に部長の椅子をゲットできた人というのは素直に凄いと思いますね。

国立大学法人職員・部長級の年収

平均年収 人数 平均年齢
北海道大学 945.4万円 10人 58.2歳
東北大学 961.0万円 11人 56.6歳
東京大学 1,131.4万円 17人 57.3歳
名古屋大学 1,004.5万円 12人 55.1歳
大阪大学 1,014.3万円 15人 57.3歳
京都大学 1,071.8万円 26人 56.5歳
九州大学 982.7万円 17人 57.7歳

国立大学法人の職員が部長以上に出世することはできるのか?

部長の上には『事務局長』というポストがあります。

その名のとおり、事務職員のトップです。

2020年現在、事務局長は文科省の官僚が占有しているので、国立大学法人のプロパー職員は事務局長に就くことができません。

事務局長は大学の理事を兼ねていることが多く、年収は1200万〜1500万が多いようです

理事の年収についても文科省の同調査をみるとわかります。

まとめー国立大学法人で出世するには時間がかかるー

以上、係員〜部長まで、国立大学法人の職員が登っていく役職の階段を順に紹介しました。

年功序列を撤廃して、実力がある職員が早めに出世できるシステムを導入すればいいのですが、その実現は難しそうです。

『職員は定年まで辞めない』という前提のもと昇進制度が作られているため、ギラギラした野心を持った方には我慢できないかもです。

反面、「仕事はそこそこでOK。週末の趣味を楽しめればいいかな」という方には国立大学はピッタリな環境かもしれませんね。

あなたはどちらのタイプですか?